体験カウンセリング
満足度
98%
「AI翻訳がここまで進化しているなら、もう英語を勉強する必要はないのでは?」
そう思って、トルコへ行った際に、ChatGPTの翻訳だけで現地の友人とどこまで会話できるのかを実際に試してみました。
今回主に使ったツールはChatGPTです。後半では、仕事でポケトークを使っていた卒業生の体験も紹介します。
一言二言を伝えるだけなら、かなり便利でした。しかし、人と会話を続けてみると、「言葉を翻訳できること」と「人と会話できること」は少し違うと感じました。
流暢に話せなくても、自分で相手の話を聞き、短い言葉で返せる。その英語力があると、翻訳だけでは続かなかった会話をつなげられるのだと改めて感じたのです。
今回は、その体験をもとに、会話の途中で感じた難しさや、海外で使う際の通信環境も含めて、5つの壁を紹介します。

トルコへ行ったとき、トルコ人の友人2人と私の3人で話す機会がありました。一人とは英語で普通に会話ができましたが、もう一人は英語を話せず、トルコ語でやり取りする必要がありました。
そこで、「ChatGPTに翻訳してもらえば、3人で普通に会話できるのでは?」と思い、試してみることにしました。最初は、言いたいことが問題なく伝わりました。
しかし、少し長く会話を続けようとすると、事情が変わってきます。
① 私が話す → 翻訳を待つ → 相手が聞く
② 相手が話す → 翻訳を待つ → 私が聞く
これを何度も繰り返すため、翻訳するたびに会話が止まります。次第に、相手も翻訳を待つことにストレスを感じている様子が伝わってきました。
そして途中で、英語を話せる友人から「もう翻訳はやめて、英語で話そう」という流れになりました。結局、英語を話せない友人とは、その後ほとんど会話を続けることができませんでした。
言葉の意味は伝わっても、相手の言葉にすぐ反応したり、思いついたことを続けて話したりするテンポは作りにくい。そこが、最初に感じた壁でした。

次に難しかったのが、会話の文脈です。話を続けるうちに、「あれ? 今、何の話をしているんだろう?」と、お互いに分からなくなる場面が増えていきました。
特に分かりやすかったのが、ジョークです。その場にいる友人同士だから分かる冗談や、それまでの話を踏まえたジョークが、意図とは違う意味に翻訳されることがありました。
英語でそのまま聞けば、私にも「なるほど、そういう冗談ね」と分かる内容でも、翻訳を通すと意味が分からなくなってしまうのです。
「さっき話していた人のこと」「これは冗談」「この出来事は本当に悲しかった」。そうした、それまでの流れや感情を踏まえて理解する話になると、意味がズレていきました。
今回はChatGPTに、「これまでの会話の流れや、直前までのやり取りも理解したうえで翻訳してください」と、あらかじめ指示を入れていました。
それでも、会話を続けると意図とは違う意味になってしまいました。私たちが試したときは、3分ほどで、お互いに「何を言っているの?」という状態になったのです。

日本で普段使っているWi-Fiは、海外で使う回線と比べると圧倒的に速いと感じます。日本にいると、その速さが当たり前になってしまいます。
でも、海外に行っても、日本と同じくらいのスピードでインターネットを使えるとは限りません。滞在先のWi-Fiなどが思った以上に遅く、日本では気にならなかった待ち時間が生まれることもあります。
ChatGPTに翻訳してもらいながら会話をするときは、その通信速度も会話のテンポに影響します。回線が遅ければ、音声を送ったり翻訳結果を受け取ったりするのにも時間がかかり、相手への返事が遅れてしまうからです。
海外で翻訳を使おうと考えているなら、日本と同じくらいのインターネット速度は期待しないほうがいいと思います。日本ではスムーズに使えていても、海外では同じようにいくとは限らない。そのつもりでいたほうがいいと感じます。

今回、3人で話して特に難しかったのは、誰が話しているのかが翻訳の中で分からなくなることでした。
私たちが使った方法では、ChatGPTがそれぞれの発言を安定して区別できず、誰の話に対する返事なのか、それまでの文脈とうまくつながらなくなってしまいました。
ただ、面白かったのは、最初の2〜3往復くらいまでは意外と盛り上がったことです。冗談も入り、3人でかなり笑った場面もありました。ほんの一瞬ですが、言語の壁を越えて話せたような感覚がありました。
ところが、そのまま続けると意味がつながらなくなり、4往復目あたりからは、会話そのものが成立しなくなってしまいました。
一人ずつ順番に、短い用件を伝える使い方と、複数人が自然に話し始める雑談とでは、難しさが違います。少なくとも今回試した方法では、3人の会話をそのまま続けることはできませんでした。

もう一つ、実際にやってみて分かったのが、翻訳を使った会話には、相手の協力がかなり必要だということです。
前日にChatGPTの翻訳で3人が少し話せたのが面白かったので、翌日も「もう一度やってみよう」と友人にお願いしました。2回目までは、何とか付き合ってくれました。
でも、スマートフォンに向かって話す。翻訳が終わるまで待つ。うまく認識されなければ、もう一度話す。これを繰り返すうちに、友人から「もう疲れたからやめよう」と言われました。
私自身はもう少し試してみたかったのですが、3回目には完全に「もういいよ」という反応でした。
翻訳は、自分が使いたいと思えばそれで会話ができるものではありません。相手にも、待ったり、何度も話し直したりする負担がかかります。その会話方法に付き合ってもらえるかどうかも、大きな壁でした。
ここまでは、私がトルコでChatGPTを使った体験です。では、ポケトークを使っていた方はどう感じていたのでしょうか。卒業生にも話を聞いてみました。
看護師として働いていた卒業生は、外国人患者さんに検査の予定や病院の決まりを説明するときに困り、ポケトークを使っても翻訳ミスがあったと話してくれました。その経験から、自分でも英語でやり取りできるようになりたいと考えたそうです。
詳しいお話は、次のインタビューの1分29秒ごろからご覧いただけます。

ChatGPTの翻訳を使って、一緒に笑えた瞬間はありました。短い用件を伝えたり、言い方が分からないときに助けてもらったりするには、便利な手段だと思います。
ただ、今回のように会話を続けようとすると、テンポが止まり、文脈がズレ、相手にも待ってもらう必要がありました。
今回の体験を、場面ごとに整理すると次のようになります。
| 場面 | 翻訳の使いどころ | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 短い用件を伝える | 言い方が分からないときの助けになる | 伝わったか、相手の反応も確かめる |
| 冗談や気持ちを交えた会話 | 意図と違う意味になることがあった | その場の文脈や、言葉に込めた気持ちも確認する |
| 3人での雑談 | 今回の方法では続けられなかった | 誰の発言か分からなくなり、話がつながらなくなった |
| 通信速度が遅い場所 | 日本と同じ速さを期待しない | 返答を待つ時間が長くなる可能性がある |
| 何度も翻訳を介して話す | 相手の協力が必要 | 待つ・話し直す負担が相手にもかかる |
| 気持ちを伝えて関係を作る | 自分で聞き、返す力もほしい | 翻訳結果を伝えた後、相手の反応に応じて会話を続ける |
流暢な英語でなくても構いません。相手の話を聞いて、反応して、質問して、自分の言葉で返す。少しでもそれができれば、翻訳を待たずに会話をつなげられます。
翻訳に助けてもらいながら、自分でも話せるようになる。その両方があると、海外で人と関わるときにできることが増えていくのだと思います。
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