英語学習の基準や目標として、CEFR(セファール)のレベルを確認したい方も多いのではないでしょうか。
国際的な言語レベルの指標でCEFRは役立ちますが、A1〜C2の各レベルの英語力を具体的に理解しておくことで、自分の英語レベルや目標が明確になります。
- CEFRの各レベルの英語力
- 日本人の平均的なCEFRのレベル
- CEFRのレベルを上げるためのポイント
など、こちらのページで詳しく解説します。英語初心者の方はB1レベルのステップアップが重要な目標になりますので、英語学習の計画・レベル確認でぜひご参考ください。
ページコンテンツ
1.CEFRとは?|国際的な英語レベルの判断基準
各レベルの詳細を説明する前に、まずはCEFRの基本的な内容や、英検・TOEICなどと比較した対照表をご紹介します。
1-1.CEFRは大学受験や留学で活用
CEFR(セファール)は「Common Europan Framework of Referece for Languages」の略で、日本語では「ヨーロッパ言語共通参照枠」と言います。
ヨーロッパ各国の言語において、多言語共通で使える習得レベルの目安・指標として利用されているガイドラインです。実際のところ、CEFRはヨーロッパ圏内の言語に限らず40言語以上で適用されています。
語学のレベルチェックと言えるCEFRでは、主に外資系企業の求人条件や大学試験・留学における基準で活用できます。雇用者や学校などの教育機関が、必要な人材・生徒の語学レベルを明確化・評価できるようにしたものです。
1-2.CEFRと各英語試験の対照表
CEFR自体には試験がなく、言語に関する検定試験やテストの結果からレベル判定ができます。文部科学省のデータなどを参考にした、CEFRと各英語試験の対照表は以下の通りです。
各レベルについて以下で詳しく基準を解説しますが、一番下のA1は中学レベルの英語力(英検3級目安)で、一番上のC2はネイティブと同等のコミュニケーションが可能なレベルとなります。
各言語の基準・ガイドラインになるため、言語レベルの幅はかなり広く設定されていますね。
2.CEFRの初心者レベル|A1・A2
まずはCEFRの中でも初心者レベル(基礎段階の言語使用者)に該当する、A1とA2から説明します。
以下で紹介している各レベルの説明は言語の熟練度に応じて何ができるかを示しており、britishcouncil.jpを参考にしています。
2-1.CEFRのA1レベル|中学卒業・英検3級ほどの英語力
CEFRのA1は最も低いレベルで、英語力は中学卒業・英検3級ほどとされています。
- よく利用される日常的表現と基本的な言い回しは理解
- 自己紹介や、簡単な質問くらいなら答えられる
- 相手がゆっくりはっきりと話して、助けが得られたら簡単なコミュニケーションが可能
中学の英語の授業で習うようなフレーズを思い出していただくと、A1の英語力をイメージできるかと思います。
- I’m from osaka.(私は大阪出身です)
- I’m in a taxi.(タクシーにいます)
- You are very kind.(あなたはとても優しいです)
などの単純なスピーキングなら可能ですが、難しい表現やスピードを速くしたリスニングにはまだついて来れないため、A1レベルの方にはジャスチャーなど言語以外のサポートも必要となります。
また、CEFRにはより細かいレベル分けがあり、2020年時点では「Pre-A1」や「B1+」など6段階で表せない言語力も確認できます。例えば、A1レベルにも満たさない英語力であれば、その下のPre-A1になるでしょう。
▷参考:COMMON EUROPEAN FRAMEWORK OF REFERENCE FOR LANGUAGES
2-2.CEFRのA2レベル|高校卒業・英検準2級ほどの英語力
A2レベルになると、基準としては高校卒業や英検準2級に相当します。
- 基本的な個人情報や買い物、ビジネスなど、直接的関係がある領域に関して理解
- 簡単で日常的な範囲ならコミュニケーションが可能
- A1と比較すると、リスニングやスピーキングでの対応範囲が広くなる
A1でのコミュニケーションは自分のことや簡単な情報に留まりましたが、A2では言語を使える場面が増えます。普段している買い物や仕事・学校のことなど、身近な事柄について英語で聞いたり話したりできます。
高校3年生まである程度英語の勉強や、大学受験でしっかり対策された方であれば、基本的な英文法や語彙力もありA2レベルでのコミュニケーションができると言えますね。
2-3.初心者はA2からのステップアップが大きな壁に
ただ、社会人になって英語を習得しようとする方の多くが、このA2から一つ上のランク・B1へのステップアップが大きな障壁となります。
A1〜A2レベルまでは日常会話範囲に留まりますが、B1以上になると自分の意見やより幅広いシーンでの言語活用ができます。そのため、A2レベルで止まってしまう方にとって「こういうことを言いたのに英語で表現できない…」とか「英単語はなんとなく意味は分かるけど、文章全体が理解できない」といった課題感があるでしょう。
3.CEFRの中級者レベル|B1・B2
CEFRのB1とB2は中級者レベルで、「自立した言語使用者」と言われています。自立=学んだ言語を使って普段の生活や仕事ができるという意味合いで、より高度な言語表現が可能です。
ここまでの英語レベルに至るには学習時間を要し、大変になりますが…B1レベルになれば「自分は英会話ができる!」「海外の人と英語でのコミュニケーションが成立する」といった実感・達成感が得られるでしょう。
3-1.CEFRのB1レベル|英会話スキルを実感する・英検2級ほどの英語力
B1レベルは英検2級に相当する英語力で、「自立した」言語使用者として以下のような事柄に対応できます。
- 仕事や学校、プライベートの身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解
- 興味や知識のある分野において、筋の通った簡単な文章を作れる
- B1レベルでは、日常的な範囲内であれば大抵のことが分かる
単純な英会話や質問回答だけでなく、自分の意見や要約説明などもされます。例として以下のような表現を英語で理解し話すことが可能です。
Your opinion is similar to mine. But I don’t agree with his project.(あなたの意見は私のと似ています。ですが、私は彼の企画には賛成しません)
In short, this product has low demand.(つまり、この商品は需要が低いです)
英語の能力だけでなく、母国語である日本語もある程度のスキルが必要となる会話が該当します。相手の話を聞いてどう思うか、重要なポイントはどこかなど考察して発信する言語力が求められます。
3-2.CEFRのB2レベル|海外留学でも通用する・英検準1級ほどの英語力
さらに上のB2レベルになると、英検準1級ほどの英語力が示されます。
- 専門分野の技術的な議論の中、抽象的な話題でも複雑な文章を理解
- ネイティブと普通にやり取りができるくらい、流暢かつ自然
- 幅広い話題について、明確で詳細な文章を作れる
具体的な内容だけでなく、抽象的な話題も英語で理解できるようになり、長文の読解やリスニングもこなせます。B2レベルでは日常的なシーンを超えて、仕事やディベートなど高度な言語表現が可能です。
そのため、大学入試共通テストにおいてB2レベルの英語力を指定するケースが多く、海外留学でも現地でのコミュニケーションが可能になるレベルとされています。
3-3.B1に到達すれば英会話が楽しくなる!|ブレイクスルーを経験して上達
B1とB2は、英語のスピーキングで正確性や発音など不完全であるものの、自信を持って英語を話せるレベルと言えるでしょう。
英語学習を挫折してしまうA1・A2レベルの方の大半が、外国人と英語を話せない自身のなさや、コミュニケーションが取れない不安を抱えてしまいます。
ですが、ネイティブとの会話が成立し始めるB1になると言語学習へのイメージが変わり、「英語を話せることが楽しい!」と感じ、勉強への積極性が生まれます。
英語への自信=コミュニケーションの楽しさにつながりますので、時間はかかりますがB1まで目指す価値は大きいですね。
4.CEFRの上級者レベル|C1・C2
CEFRのC1・C2は上級者レベルで、「熟達した言語使用者」となります。より流暢な言語表現が可能になり、ネイティブに相当する能力だと言えます。
4-1.CEFRのC1レベル|専門的な内容も理解・熟達している
C1レベルは英検1級に相当する、かなり高い言語習得者です。
- 高度な内容・長い文章を理解して、含意を把握
- ネイティブと同等の自己表現ができる
- 日常生活から学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に使える
専門的な話題も理解できており、C1レベル=バイリンガルと言えるでしょう。知見のない分野の専門書や政治のスピーチ、高度なプレゼンテーションもできるようになります。
4-2.CEFRのC2レベル|ほぼ完全に理解・ネイティブに相応する英語力
C2レベルではCEFRの中でも最高レベルになり、基準としてはネイティブに等しい言語力が求められます。そのため、C2ではスピーキング・リスニングなど言語面のスキルだけでなく、海外におけるコミュニケーション・カルチャーの理解も重要です。
具体的には、海外ドラマのジョークに気づいたり外国人コメディアンのユニークを感じ取れるなど、ネイティブのトレンドや感性を把握することで、ネイティブと同等の言語スキルを身につけられるでしょう。
5.日本人の平均的なCEFRのレベルは?|レベルを上げるポイント
CEFRの各レベルについて一通り説明しましたが、日本人の平均的なレベルと言語力を上げるポイントを最後に確認しておきましょう。
5-1.IELTSの日本人受験者平均だとB2
CEFRのレベル参考の一つであるIELTSでは、日本人平均スコアが5.8となります。これは、CEFRに換算したレベルでB2となります。
▷参考:IELTS Test taker performance 2019
IELTSの公式サイトでも各国の平均スコアが公開されていますが、多くの国で6.0以上のスコアなので日本の英語力はそこまで高くないことがわかります。
平均でもB2は高いと感じるかもしれませんが、実際のところIELTSは海外留学・就職を目的に受験する方がほとんどであるため、母数的に英語学習を本格的にしている方が大半となります。
そのため、IELTSの平均は日本国民全体というより、英語学習への意欲が高く実際に勉強をしている方の平均だと考えられます。
5-2.実際は高校卒業時の英語レベル(A2)に到達しない割合が高い
日本人のCEFRレベル平均について、高校生を対象にした文部科学省の調査結果も参考にします。2021年度の英語教育実施状況調査によれば、CEFR A2レベル相当以上を取得している高校生の割合は46.1%と半数以下です。
前回調査と比較するとA2レベルに達している割合は微増していますが、それでも国が目標としている50%には届かない結果となっています。
高校卒業後も英語学習をしている方がいるため、必ずしもこの統計結果が大人・社会人に当てはまる訳ではないですが、少なくても日本の高校生ではA2への到達が難しい英語レベルであることが考察されます。
また、英語力を測るテスト・VERSANTのスピーキングテストでは、2018年時点の日本人受験者の平均点は38点と、こちらもA2レベルに相当します。
5-3.中級者(B1)レベルにまず到達するために|英語基礎と4技能を鍛える
中学校や高校の英語学習だけでは英語でのコミュニケーションが難しい中、いかに中級者以上のB1に到達することがポイントとなります。
実際に英会話が自立的に可能になるB1を目指すには、英語の基本的な知識と4技能と言われているリーディング・ライティング・リスニング・スピーキングを鍛えることが大事となります。
VERSANTのスピーキングテストでも平均がA2であるように、英語表現が苦手という方も多く、仮にリーディングができてもアウトプットの練習が不足しているとB1レベルまで到達しません。
各スキルをバランス良く対策する必要があり、まずは自分の英語レベルを客観的に判断した上で、苦手な分野から学習しておくといいでしょう。Aloha English英会話では無料カウンセリングからご相談できるほか、英語学習による成功体験談もご紹介していますのでぜひお読みください!
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