StartとBeginはどちらも「始める」を意味する動詞で、中学英語で習った覚えがある人も多いでしょう。
ただ、どちらも同じ「始める」でどのように使い分けをすればいいのか分からない…そんなお悩みもあります。そこで、こちらのページではStartとBeginの違い・比較などを解説します。
- 同じ「始める」でもStartとBeginのニュアンスはどう異なるのか?
- 練習問題からStartとBeginの使い分けを確認し
- 文法的な知識や類似する動詞との比較
など、一通り理解できることで英語表現力が上がります。StartとBeginの違いをおさえて、日常会話でぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
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1.StartとBeginの違いとは?
最初に、StartとBeginの大まかな比較をしてみます。基本的な意味は同じですが、使うシーンでの使い分けができます。
1-1.基本的には同じ意味の「始める」

以下例文のように、「映画は8時に始まります」の「始まる」という意味でStartとBeginが使われます。
- The movie starts at 8:00.
- The movie begins at 8:00.
StartとBeginは同じ意味で使われることが多く、進行形にした場合でもStartingとBeginning、それぞれの置き換えが可能です。
- 雨が降り始めました:It’s starting(beginning)to rain.
- 彼女がその知らせを聞いた時、彼女は泣き始めました:When she heard the news, she started(began) to cry.
1-2.カジュアル・フォーマルによって使い分けができる
ただ、シーンに応じてStartとBeginの使い分けができます。話し言葉的なカジュアルなシーンであればStartが無難で、ビジネスシーンなど畏まった表現をするのであればBeginが適切です。
Startは口語的・カジュアルなイメージ

友達や家族と会話するような感じのコミュニケーションでは、始める・出発するなどの意味でStartが使えます。
- I’m going to start from Tokyo.(東京から出発する予定です)
- The engine started.(エンジンがかかりました)
- He doen’t know where to start.(どこから始めればいいか彼は分かりません)
上記の例文のように、日常会話での英語表現はStartが一般的です。
Beginはフォーマルなシーンで使う

海外のサイト:Cambridge DictionaryでもBeginについての特徴が述べられています。
We can use the verbs begin and start to mean the same thing but begin is more formal than start.
上記の英文は、StartとBeginは同じ意味だが、Beginはよりフォーマルであるという説明になります。
Let us begin this meeting with a presentation by the manager of marketing.(マーケティングマネージャーによるプレゼンでこの会議を始めさせていただきます)
そのため、この例文ではStartも使うことは可能ですが、Beginを使ったほうがフォーマルな表現として好まれるでしょう。
2.同じ「始める」でもStartとBeginのニュアンスは異なる
より細かいニュアンスでStartとBeginを比べてみると、以下のような違いがあります。
- Start:急に始まる・継続するイメージがある
- Begin:動作や様子における始点・始まりが注目される
日本語にすれば同じ始まる意味合いですが、継続性などで使い分けができます。
2-1.Startは急に始まる・続いているイメージ
Startは急に始まっていたり、止まっていたものが動き出す・発進するイメージがあります。始まる瞬間だけでなく、静→動の変化や継続的な進行・動作がコアとなります。
電車などの乗り物が出発する

分かりやすい例が、電車など乗り物の出発があります。以下がStartの例文で、発射してから連続して進んでいる乗り物をイメージできます。
- The train is ready to start.(列車は発車しようとしています)
- The first bus starts at 6:00 a.m.(始発のバスは6時に出発します)
- What time do you start boarding?(搭乗開始は何時でしょうか?)
旅行や仕事のプロジェクトが始まる

旅行や仕事などが始まる表現も、ただ開始するだけでなく継続的に進むイメージがあるのでStartを使います。
- I will start the journey within the year.(年内には旅に出るつもりです)
- We started this project last month.(先月にこのプロジェクトを開始しました)
旅行やプロジェクトは短期的なものもありますが、数日〜1ヶ月と継続するようなニュアンスからStartでの表現が一般的です。ビジネスに関する計画・プロジェクトもStartが自然ですね。
機械などの操作も続く動作なのでStartが適切

また、パソコンや家電などの機械も一度動き出すと継続的な動作・様子になりますので、Startが使えます。
Oh no! The washing machine won’t start again.(なんてこった! 洗濯機がもう動かなくなっちゃった)
機械を動かすときは常に「Start」を使います。対して、The washing machine won’t begin again.」とBeginを使うことができません。
スタートボタンというくらいですので、車や洗濯機、芝刈り機などを対象にした起動的なスタートではBeginと意味が合わないと考えられます。
2-2.Beginは始点が注目される
一方で、Beginのコアイメージは始まり・始点にあります。
- 最初の一方を踏み出す
- 物語や話の最初・冒頭
- 継続的な動作かどうかは関係なく、物事の始まりを意味する
などの要素がある場合、Beginの方がより適切な表現となるでしょう。
動名詞のBeginnigは「始まり・冒頭」など最初の過程を示す

Beginを名詞化したもの(動名詞)はBeginningと言いますが、始まりといった意味になります。
「Every story has a beginning.(全ての物語・ストーリーには始まりがあります)」といった英文のように、初めの時点・地点にフォーカスされます。そのため、始まってから進行・継続的な要素があるStartとは異なり、より短期的・一瞬の時点が強調されると言えるでしょう。
また、日本語でも使うビギナー(Beginner)も同じようなニュアンスで、初学者・初心者という意味もこれから始まる・第一歩を踏み出すイメージがあります。
体を動かす動作などでBeginが使える

何かをし出す・始める動作について、以下例文のようにBeginで表現できます。〜し始める・切り出すなど、始まったこと・変わったことに焦点を置きます。
- I began looking for a job.(仕事を探し始めました)
- He begins to talk.(彼が話し始めます)
- I began to feel suspicious of her.(彼女のことを疑い始めました)
2-3.対義語での比較でもStartとBeginの違いがイメージできる

StartとBeginにはそれぞれ対義語があり、対立する英単語からも比較がしやすくなります。
Startの対義語はStop:連続する事象・行動を止める
Startの対義語はStopで、イメージとしては続いていたことが止まる・終える感じですね。
時間軸的な要素があり、StartからStopまで時が流れている・連続しているような想像ができれば、Startのコアイメージが掴めるかと思います。
Beginの対義語はEnd:始点と終点の関係
Beginの対義語はEndで、物事の終わり・終点というニュアンスがあります。
簡単なイラストで比較してみましたが、EndはStopと比べて止めるより終わる要素が強いですよね。そのため、時間の流れよりは始点と終点といった点でとらえるような表現となります。
- Start~Stop:時間軸の線で物事を表現する
- Begin~End:点と点で物事を表現する
ほかにもStartとBeginの細かい違いはいくつかありますが、上記で説明したフォーマル・カジュアルの区別とあわせて、時間軸的な差異を理解できればネイティブに相応するアウトプットができるでしょう。
3.StartとBeginの使い分けを確認できる練習問題
これまでの解説を踏まれて、StartとBeginの違いを確認できる練習問題を5つ用意しました。
以下の5問について、—–に入るのは「StartとBeginの両方が使える」「Startだけが使える」「Beginだけが使える」3択になります。
3-1.StartとBeginの使い分け練習問題(5問)

答えは以下の見出し下にまとめて記載していますので、まずはこちらの5問を全て解いてみましょう。
- I want to —– my own computer shop.
- He —– my car.
- The meeting will —– tomorrow.
- Let’s —– the class!
- A good —–ing makes a good ending.
第5問は日本語でも聞いたことがあるような、ことわざになります。StartとBeginの両方が使えるか、どちらか一方だけか考えてみましょう。
3-2.練習問題の解答はこちら!

以下でまとめて、練習問題の解答を記載しました。全問正解でなくても、これから理解できればいいので問題ございません!
- 自分のPCショップを始めたいです:ビジネスに関する内容からStart
- 彼は自分の車を発進させました:機械に関する操作からStart
- 会議は明日始まります:フォーマルならBeginだけどStartでも意味が通じる
- 授業を始めましょう!:StartでもBeginでも意味が通じる
- 始めよければ終わりよし:Endとの対義語でBegin
1と2は、ビジネスに関することや機械など、Beginでは使わない英語表現なのでStartが正解となります。また、5は「始めよければ終わりよし」のことわざで、「End/Ending」の終わりから対になるBeginが正解となります。
4.参考:Start to(~ing)とBegin to(~ing)の使い方・文法について
StartとBeginに関して、文法的な疑問も多くいただきます。その一つが、Start toとStart ~ingの違いです。
StartやBeginの後に、始める動作を示す動詞を入れる場合には to + 原形またはing形が入ります。いわゆるto不定詞とing形の使い分けについて、考えてみましょう。
4-1.Start to/Begin toはto不定詞を使った表現

以下例文のように、StartやBeginの後に置かれるtoは名詞的用法の不定詞で、一般的にはto不定詞と呼ばれます。
- I started to clean my room.(部屋の掃除をし始めました)
- you will begin to feel better.(あなたの調子は良くなるでしょう)
- I’m starting to like this.(これを好きになってきました)
- I’m beginning to hate her.(彼女のことを嫌いになり始めています)
〜すること、と動詞を名詞化する役割がtoにあり、詳しくは関連記事でも解説しています。また、例文にもある現在進行形(~ing)では、以下で紹介する動名詞よりto不定詞が使われる傾向にあります。
4-2.Start ~ing/Begin ~ingは動名詞を使った表現

動詞の名詞的活用ではing形の動名詞もあり、これもStartやBeginと組み合わせることが可能です。
- We start talking about benefits of this contract.(この契約の利益について、話し始めます)
- She began swimming in the public pool.(彼女は市民プールで泳ぎ始めました)
to不定詞と同様に、〜することといった具合に動詞を名詞として扱うことができます。
4-3.基本的に大きな差はなし・習慣的な動作なら動名詞が自然

to不定詞と動名詞は、どちらも基本的には同じ意味になります。ただ、ニュアンス的な違いに触れると、to不定詞は未来的な要素があるのに対して、動名詞は過去の要素や習慣的な意味があります。
I’m StartingやI’m Beginningなど、進行形の場合にはto不定詞が使われるのも未来へと向かう「to」のイメージが影響しています。
また、「I started studying English.」と動名詞で表現する場合には、過去の一時的な勉強だけでなく現在に至っても勉強が習慣になっていることが読み取れます。
5.StartやBeginと似た動詞との比較
StartやBeginはそれぞれ「始まる」意味ですが、何かを始めることについて表現できる動詞は他にもあります。
5-1.commence:形式ばった表現

commenceは「始まる」意味で、Beginとほぼ同じのニュアンスになります。かたい表現で、主に書き言葉で使われます。
Beginと同じイメージで、「The contest will commence in Sapporo.(このコンテストは札幌で始まります)」など、始点・始まることにフォーカスされます。また、commenceの対義語はcompleteで完了を意味します。
形式ばった表現で、日常会話ではあまり使いません。なので、BeginやStartを日常会話で活用しておけば問題ないでしょう。
5-2.Initiate:Beginと似ている第一歩的な始まり

Initiateもかたい表現で、Beginと似ているニュアンスです。事業や計画などの始まりを意味し、「We have to initiate a plan.(私たちは案を新たに立てなければなりません)」といった使い方ができます。
ビジネスシーンにおいて「initiate new methods(新たな方法を始める)」や「initiate the meeting(会議を始める)」など、フォーマルな表現ができるでしょう。これもStartのような継続的な要素はなく、新たな第一歩・始まりの瞬間が重視されます。
5-3.open:お店の開業や本の始まりなどを示す

始まる表現ではOpenが、日本語でもよく聞く単語ですね。「She opened the letter.(彼女は手紙を開けました)」など開ける・開くなどの意味もありますが、「The store opens for business next week.(このお店は来週開店します)」など開業の表現ができます。
アルバイトでもオープニングスタッフ募集など言われるように、お店のオープンで活用できますね。また、Q&AサービスのHiNativeには、Openについて以下のような見解がありました。
Or it can mean the beginning of something. For example, the opening of a play is the first scene and the opening of a paper could be either the first sentence or first paragraph.
▷外部サイト:hinative beginning と starting と opening はどう違いますか?
何かの始まりでOpenが使われることもあり、例えば劇の冒頭・最初のシーンや論文や小説などの最初のページ・パラグラフなどが該当します。
6.StartやBeginの違いまとめ|重要な英語表現もチェック

StartとBeginの違いを一通り解説しましたが、Startは継続的な表現や旅行・機械などの始動で使えます。一方でBeginは始点的なスポットでの表現・イメージがあるので、この違いを理解できれば使い分けができるでしょう。
他にも以下の通り、日常会話で使えるStartとBeginのイディオムをまとめました。前置詞との組み合わせで、幅広い表現ができます。
- get started(始める)
- to begin with(まず第一に)
- start off(始まる・出発する)
- start on(取りかかる)
- begin with(〜で・〜から始まる)
前置詞の使い方・イメージも理解しておくと、初めて見るイディオムでもある程度意味が想像できるでしょう。
6-1.日常会話で役立つ基本動詞から覚える!
英会話・英語表現が苦手という初心者でも、日常会話から対応できるようになるポイントとして、英語表現の活用・幅が広い基本動詞の習得が大事です。
StartやBeginも基本動詞の一つで、意味こそは単純ですがコアイメージから様々な言い方ができます。難しい英単語を無理に覚えなくても、頻度の多い基本動詞だけおさえておけば役立つでしょう。
詳しくは以下の関連記事より、厳選した基本動詞を解説しています。それぞれの単語のイメージ・意味を理解して、ぜひ英会話を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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