英語の動名詞は、動詞と名詞が合わさった言葉のように動詞が名詞として使われていることを意味します。「〜すること」と日本語で訳されて、「動詞の原形+ing」が基本の形ですね。
ただ、動名詞は様々な使い方ができるほか、同じく動詞を名詞として使うto不定詞の違いなど分かりづらいポイントもありますので、動名詞に関して一通り確認しておきましょう。
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1.動名詞とは?|動詞を名詞として使う(〜すること)
英語の動名詞は動詞を名詞として使う文法で、例えば日本語でも「友達とご飯に行くことが好きです」とか「あなたは毎日ゲームするのをやめるべきです」など、動詞について目的語(〜を)にする場合も多いですよね。
I have lunch with my friend.(友達とランチをします)
→動名詞の用法:I like having lunch with my friends.(友達とランチに行くのが好きです)
You play games.(あなたはゲームをします)
→動名詞の用法:You have to stop playing games.(あなたはゲームをやめなければなりません)
一般的な動詞の原形に「ing」をつけることで、本来は「〜する」であった動詞の意味が「〜すること」に変化します。これが動名詞の役割で、名詞の働きをしますね。
1-1.日本語に訳す場合は必ず「〜すること」とは言わない
ただ、例文の翻訳でもある通り、「ランチに行くのが」とか「ゲームをやめなければならない」など、どんな場合でも動名詞では「〜すること」と言う必要もないですね。
「ランチへ行くことが好きです」とは「ゲームをすることをやめなければならない」など、動名詞の意味を意識し過ぎると不自然な表現になるでしょう。
I’m good at creating apps.(アプリを作ることが得意です→アプリ制作が得意です)
といった感じで、動名詞=〜することに縛られず、動詞が名詞として使われているくらいの認識で訳すといいでしょう。
1-2.動名詞の使い方まとめ
詳しくは以下でも解説しておりますが動名詞には様々な使い方があり、一般的な名詞と同じように主語や目的語など役割が多いですね。
- 主語になる動名詞|Running is good.
- 補語になる動名詞|My hobby is running.
- 目的語になる動名詞|I like running.
- 前置詞の目的語になる動名詞|Thank you for teaching English.
本来の名詞にも置く位置や役割がありますので、名詞の使い方・種類の解説ページもあわせて確認しておくといいでしょう。
2.動名詞の基本的な使い方・置く場所について
動名詞の使い方や役割について、置く位置とあわせてパターン別に解説いたします。
なお、文型的な要素で主語や補語・目的語などの分別をしておりますが、あまりピンと来ない方は英語の五文型・英文で必要な要素で解説していますのでご参考くださいませ。
2-1.動名詞を主語にする場合
分かりやすい例だと、文頭に動名詞を置いて主語にするケースがありますね。「〜することは」といった感じで、話の主役・動作主を動名詞で表現します。
Learning English is fun.(英語学習は楽しいです)
Drinking coffee calms me down.(コーヒーを飲むことで落ち着きます)
補足としまして、動名詞は「私」でも「あなた」でもない三人称に該当するため、主語+一般動詞の場合には三人称単数の動詞変化(calm→calms)になります。
Being kind is important.(親切でいることは大事です)
それと、動名詞は一般動詞だけでなくbe動詞をing形にすることで、「〜でいること・あること」と表現します。beingと形容詞や名詞がセットになった形ですね。
「human being(人間)」も動名詞が由来になっており、「実際に存在している人間・いる人間」といった具体的な人を対象に動名詞を取り入れた「human being」を使うこともあります。
2-2.動名詞を補語にする場合
動名詞を補語として使うことも可能で、単純な文型だと第二文型SVC(主語+動詞+補語)のパターンですね。
My daily routine is drinking coffee.(私はコーヒーを飲むことを日課にしています)
His hobby is reading books.(彼の趣味は本を読むことです)
be動詞を使って、主語と補語の動名詞がイコールの関係になることが特徴です。以下で説明しています目的語との見分け方でも重要なポイントですので、覚えておくといいでしょう。
2-3.動名詞を目的語にする場合
また、動名詞を目的語として使う場合には、動詞にとっての目的・動作の対象という役割があります。
I want to stop smoking.(禁煙をしたいです)
I finished working.(仕事を終えました)
補語は主語に対する説明であるのに対し、目的語で使っている動名詞は前の動詞を補足しているとの違いがあります。そのため、目的語の場合だと主語とイコールの関係にはなりませんね。
詳しくは、第三文型SVOの特徴や注意点解説でも取り上げていますので、ご参考くださいませ。
3.動名詞が前置詞の目的語になるケース
それと、前置詞+動名詞で使う場合も多く、「before dinner(夕食前)」と前置詞+名詞で説明するのと同じような使い方で、動名詞が前置詞の目的語になります。
She has been living in Osaka after leaving Tokyo.(彼女は東京を出てから、大阪に住んでいます)
→「東京を出たこと」から後(after)の話
「after leaving Tokyo」で、東京を出たことから後=東京を出てからとの解釈になります。また、上の例文では過去の一地点から継続して住んでいることを表現するために、完了進行形を使っていますね。
ですので、「has been living」のing形は動名詞とは別で、進行形を意味する現在分詞なのでそれぞれ違う意味となります。
I wish I could get a lot of money without working.(働かなくても、たくさんのお金がもらえたらいいのに)
また、前置詞の「without」とあわせた例文では、「〜しないこと・〜なしで」という意味になります。なお、こちらの英文では「I wish〜」で始まる仮定法を使って、実際には実現していないことを言っていますね。別ページにて、仮定法の種類と使い方を解説しております。
ほかにも、以下のような前置詞+動名詞のパターンがありますので、前置詞の基本と一緒に確認しておくといいでしょう。
- before ~ing(〜の前)
- after ~ing(〜の後)
- with ~ing(〜と一緒に)
- without ~ing(〜無しで)
- be good at ~ing(〜が得意)
- look forward to ~ing(〜を楽しみに待つ)
- be used to ~ing(〜に慣れている)
4.動名詞とto不定詞の違い・比較
これまで、動名詞の意味や使い方を中心にご紹介しましたが、ある程度英語の勉強を進めている方で「動名詞とto不定詞は同じような働きみたいだけど、何が違うの?」と疑問に思うこともあるでしょう。
to不定詞は関連ページでも解説していますが、「to + 動詞の原形」で以下例文のような名詞的用法で使われます。
I like to cook.(私は料理が好きです)
▷to不定詞について確認・復習したい場合はこちらのページで!
4-1.動名詞は過去や習慣・to不定詞は未来的な要素
動名詞と名詞的用法のto不定詞はどちらも同じ働きのように見えますが、ニュアンスが細かいところで異なります。
- 動名詞の場合:これまで(過去)のこと・習慣になっていること
- to不定詞の場合:これからのこと(未来的な要素)
分類するなら、動名詞の場合は「finish ~ing」や「stop ~ing」など、過去のことに対して終わる・止めるなどマイナスのイメージと結びついている傾向にある一方で、to不定詞では「hope to~」や「expect to~」など、これから〜する・〜しようといったプラスのイメージがあります。
一応、動名詞だけ使える動詞のパターンについて「メガフェップスでない!」と、強引な語呂合わせで覚える方法もありますが、前提としては動名詞=過去のこと・to不定詞=未来のことで、それぞれの品詞における本質的な意味をまず認識しておくことが重要ですね。
4-2.動名詞とto不定詞で意味が異なるケース
動名詞とto不定詞の両方とも使える一般動詞もありますが、それぞれのイメージ・ニュアンスから同じ動詞でも違った意味になります。
I didn’t remember talking in the meeting.(会議で話したことを覚えていませんでした)
→〜したこと、と過去の内容について覚えていない
I must remember to talk in the meeting.(会議で話すことを覚えておかなければなりません)
→これからのことを覚えておくべき
I try to change jobs.(これから転職してみます)
→未来的な内容での転職
I tried changing jobs.(転職をしてみました)
→過去にチャレンジした転職
時制によって動名詞とto不定詞を使い分ける必要があり、過去に起きたこと=動名詞・未来的な内容=to不定詞の傾向から識別するといいでしょう。分かりやすいイメージでは、「to」は何かに向かっている=右向きの未来的・将来的に先駆している矢印(→)だから、過去形での内容ではマッチしないな、という捉え方がありますね。
4-3.動名詞だけ使える動詞のパターン
以上の内容を踏まえて、動名詞だけ使える一般動詞をまとめました。これらの動名詞について「メガフェップスでない!(MEGAFEPSでない!)」の語呂合わせで覚える方法もあります。
- mind(気にする)/miss(〜を間違える)
- enjoy(楽しむ)
- give up(諦める)
- avoid(避ける)
- finish(終える)
- escape(避ける・逃げる)
- practice(練習する)/put off(延期する)
- stop(止める)/suggest(提案する)
- deny(否定する)
動名詞しか取れない一般動詞について、それぞれの頭文字を取って「メガフェップスでない!」とまとめられますが(でない=deny)、強引な語呂合わせであるほか「imagine(想像する)」も追加があるので、そこまでおすすめはしませんね…
なので、こちらの一般動詞は「気にする」や「終える」など過去のことに関する内容がメインなので、過去のこと・マイナスのことだから動名詞を使おうといった識別方法が適切です。
4-4.to不定詞だけ使える動詞は?
一方で、これからの内容・将来的な出来事に限定される一般動詞は動名詞が不適切で、to不定詞だけの活用となります。
I want to go shopping in Shibuya.(渋谷で買い物に行きたいです)
I decided to live abroad.(海外に住むことにしました)
「want to」や「decide to」のほか、「hope to」や「promise to」などがto不定詞のみの一般動詞に該当します。したいことや決心すること、望むことは未来的な話ですのでto不定詞が適切でしょう。
5.動名詞に関連する文法・応用表現もチェック
動名詞について、完了形や受動態などの応用表現や形が似ている現在分詞との違いなども確認しておくと、より全体的な文法・英語表現を理解できるようになるでしょう。
5-1.動名詞の完了形表現(〜したこと)
動名詞について完了している説明(〜してしまった)や経験(したことがある)など、時制に関連する補足をする場合に「having + 過去分詞」で表現します。
I remember having been with her in our classroom then.(その時、教室で彼女と一緒にいたことを覚えています)
I regret having gone to the post office without my wallet.(財布を持たずに郵便局へ来たことを後悔します)
現在よりも前のことについて、「〜してしまった・〜していた」内容を過去完了で言いますね。完了形の用法・種類についての解説ページにて、詳しく説明しております。
5-2.動名詞の受動態表現(〜されること)
英語では受動態表現もあり、「〜されること」の受け身は通常be動詞+過去分詞の形ですが、動名詞で使う場合には「being + 過去分詞」になりますね。
I give up being trusted by everyone.(全員から信頼されるのを諦めます)
My cat likes being rubbed her tummy.(私の猫はお腹を撫でられるのが好きです)
動作主が別にいる(主語以外の)動名詞は、受け身の形で表現します。受動態の関連記事もありますので、あわせてお読みくださいませ。
5-3.動名詞と現在分詞の違いは?
それと、動詞原形のing形は動名詞だけでなく現在分詞もありますが、現在分詞のing形には別の役割があります。
We are talking in the meeting.(会議で私たちは話し続けています)
→現在進行形の時制を表現する現在分詞
She met me running in the park.(彼女は公園で走っている私と会いました)
→名詞を形容詞的に修飾する現在分詞
現在分詞は名詞以外の役割がある一方で、動名詞は基本的に名詞的用法の一つだけであります。品詞的な観点で違いがありますので、共通したing形ですが動名詞と現在分詞は同じにはなりませんね。
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