リンキングの仕組み解説|英語発音の上達がリスニング力にも効果あり

リンキング(音の連結)とリスニングには深い関係がある、とあなたはご存知でしたか?

Can I have a bit of egg?

この英文をネイティブが発音すると「キャナイ・ハヴァ・ビトヴェグ」となります。単語を連結させて発音するのがネイティブ発音の特緒です。単語ごとに発音する音とは全く別の発音に変わります。リンキングを知らないと、「聞いたことのない単語だ・・」と勘違いしてしまいがち。しかしスクリプト(文章)を見ると、「あれ?知っている単語だぞ」、となるのはリンキングが原因です。

リンキングがわかるだけで、リスニングも上達するのです。発音を改善したら、たった3ヶ月で英語が聞き取れた、という学習事例もあります。

この記事では単語と単語が連結するときのルールとリンキングが起こる法則を詳しく解説しています。仕組みを理解するだけでなく、自らが発音できるように励んでください。あなたの英語が世界の人たちに通じる発音に変わります。

1.ローマ字で読めるネイティブ発音の特徴|リンキング を学ぶメリット

1-1.リンキング とは単語を連結させて発音する方法|ローマ字読みで音が変化

ネイティブは文(文章)を話すとき、単語と単語を連結して発音します。単語と単語を連結させて発音する方法をリンキングと呼びます。リンキングが起こると、単語単体の音が変化します。単語のスペルとは違う音に変化するため、リスニングで苦戦してしまう原因の1つです。

聞こえた音が、なぜ違う音に聞こえるのだろう?と悩んだとき、リンキング を確認してください。

リンキング のルールは複雑ではなく、ローマ字が読めれば音を予測できます。しかし頭で理解するだけでなく、声に出して発音する練習、が絶対的に必要です。聞こえた音を忠実に再現する、これが発音改善と大切なポイントです。

1-2.リンキングを学ぶ2つのメリット|発音改善とリスニング力UP

○世界で通じる発音ができるようになる

リンキングを意識して発音をすると、流暢な英語に聞こえます。ネイティブだけでなく、第2言語として英語を話している人もリンキングさせて音声を出します。リンキングをマスターすると世界で通じる英語発音を身にけることが可能です。

○リンキングができると英語がゆっくり聞き取れる

音声を聞いてみてください。

Can I have a bit of egg?の正しい発音(キャナイ・ハヴァ・ビトヴェグ)で音読をして、もう一度音声を聞き直してください。初めて聞いたときより、リンキング部分がクリアに聞こえるはずです。

リンキング を学習すると発音はもちろん、英語の聞き取り(リスニング)も向上します。TOEICなどリスニングがある資格テストにも有効です。

2.(基礎編)アルファベットの法則|リンキング組み合わせのルール

リンキング に関する4つの法則をご紹介します。パターンを覚えれば、発音の変化を予測することができます。

単語が連結するときの4つのルール

  1. 最もよく起こるパターン
  2. 文字にない「y」がくっつくパターン
  3. 前置詞の連結パターン
  4. 「you」と繋がるパターン

では詳しく解説していきます。

2-1.最もよく起こるリンキング|子音で終わる英単語+母音で始まる英単語

子音で終わる英単語と母音で始まる英単語がつながります。基本的にはローマ字読みで発音がわかるはずです。

「ハウ アー ユー」ではなく、リンキングが起こると「ハワユー」の発音へと変化します。

2-2.文字にない「y」がくっつくリンキング|母音で終わる英単語+母音で始まる英単語

○笑顔の唇になるときは「y」の音になる|単語の終わりが「a / e / i」

単語の終わりが「ア・エ・イ」の音で終わっている場合、母音で始まる単語との間に「y」の音が混じります。唇が「ニィ」と笑顔になった形になるため、本来はない「イ」の音がうっすら発音されます。

「ハイアップ」ではなく、「ハイヤップ」と発音が変わります。「イ」の音がのこり、「y」の音が加わります。

○丸い唇のときは「w」の音になる|単語の終わりが「o / u」

“o u”の音で終わるときは「ウゥ」と唇を丸めた[w]の発音になります。唇をまめるため、「ウゥ」の音が最後に混じります。次の単語が母音で始まる場合、「w」の音が加わります。

2-3.前置詞が連結するリンキング|前置詞が続く場合|「in / on / and / or / 」

前置詞がある文はリンキングがよく起こります。イディオムによっては前置詞が重なる時があります。その時リンキングが起こり、発音が大きく変化します。

  • come on in!
    「中に入ってください」
  • Mike dropped in on us. 
    「マイクは私たちのところへ立ち寄った」

単語ごとに発音する音とは全く違う発音に変わっています。リンキングを知らずに聞いたら、簡単な単語でも認識できません。

2-4.youと繋がるリンキング|+”y”で始まる英単語

[t / d / p / z / s]などの子音の後に「you」が来たときにリンキングが起こります。発音方法はローマ字読みで考えると、発音の音を想像できます。

リンキングの組み合わせは全部で4パターンありました。しかし連結パターンだけでなく、単語の品詞による組み合わせも重要です。以下の章で詳しく解説していきます。

3.(応用編)品詞別に連結する法則|3パターンあるリンキングの例文

3-1.内容語と機能語|緩急をつけて発音するネイティブ英語の法則

○重要な意味をもつ品詞は内容語・役割をになる品詞は機能語

内容語とは文中において重要な意味をもつ言葉です。機能語は内容語と比べると聞き逃してもさほど大きな影響が出ない言葉です。

英語を発音するとき、内容語はゆっくり大きく、機能語は素早く小さく、が発音するコツです。日本語のように平たく声を出すのではなく、強弱をつけ緩急のある発音を目指しましょう。英語は強弱のあるリズミカルが発音が特徴なのです。

○内容語・機能語の一覧表|組み合わせを学ぶ前に知識の整理

単語の並びをみれば、瞬時にリンキングをイメージできる状態が理想です。内容語は重要な単語、機能語は役割を担う単語です。「内容語は重要、機能語はなくても意味が通じる」と覚えておきましょう。

[it / was / with / you]が機能語で素早く弱く発音し、[nice / talking]は内容語で強くゆっくり発音します。

リンキング の組み合わせを学ぶ前に、内容語と機能語を瞬時に区別ができることが目標です。以下の内容語と機能語の一覧表を参考にしてください。

** 品詞 具体例
機能語 人称代名詞 ■主格 I / you / he / she / it / we / they
■目的格 my / your / his / her / its / our / them 
■所有格 me / you / him / her / it / us / them
助動詞 do / does / must / can / may / have to etc.
前置詞 at / in / of / about / from / by etc.
冠詞 a / an / the
接続詞    and / or / but etc. 
関係代名詞      that / what / which / whom etc.
内容語 名詞 desk / chair / dictionary / laptop etc. 
動詞      move / take / put / bring etc. 
形容詞      beautiful / lovely / old etc.
副詞  very / so / again / totally etc. 
指示代名詞      this / that / it etc.
所有代名詞      mine / yours / his / hers / its / ours / theirs 
疑問視      what / when / who / which / where / why / how etc.
再帰代名詞 myself / itself / yourself / ourselves etc. 

3-2.リンキング組み合わせ一覧|「内容語」と「機能語」が連結する3つの法則

内容語と機能語のリンキング パターンは以下の3つを覚えておいてください。

  1. 内容語+機能語のリンキング 
  2. 機能語と機能語のリンキング 
  3. 内容語と内容語のリンキング はない

では具体例をみながら確認していきましょう。

①内容語+機能語のリンキング 

内容語と機能語が隣り合わせになる箇所をみてみましょう。内容語と機能語のリンキングは頻繁に起こります。

内容語と機能語がリンキングした発音は、ローマ字読みになります。have a saltのように、「v+a」を「ヴァ」とローマ字読みします。ローマ字読みになることで「ハヴァ ソルト」の発音に変化します。

②機能語と機能語のリンキング 

機能語と機能語がリンキングすると発音の難易度が上がります。素早く発音するため、音読で練習すると口が回らなくなります。さらにリンキングが起こると、全く別の発音に変化するからです。リスニングで聞き間違いを起こしてしまうのは機能語と機能語のリンキングが原因です。

check it outがリンキングし、「チェキ・ラ・ウ」の発音に変化します。「チェック イット アウト」と単語ごとに読む発音とは大きく違います。

③内容語と内容語のリンキング はない

内容語と内容語はリンキングしません。リンキング はあくまでネイティブが文章を発音しやすいように簡略化した現象。内容語までリンキング してしまうと、大切な内容まで伝わらなくなります。

よくあるリンキングの3パターンをご紹介しました。

リンキングを意識して音読をすれば、3パターンはすぐに身につきます。しかし、会話中にリンキングが必ず起こるわけではありません。話しての「感情」が入れば、伝えたい単語の発音を強調します。伝えたい単語はリンキングせず、単語単体の発音をした方がより強調されるからです。

4.(番外編)リエゾンの法則|ネイティブ発音の練習方法

4-1.音の変化がネイティブ発音の法則|リエゾンとイントネーション

ネイティブ発音はリンキングのような音の変化(リエゾン)と音の強弱をつけたイントネーションが特徴的です。発音を改善するためにはそれらの特徴を学ぶ必要があります。

  • 3種類のリエゾンについて
  • 音の強弱をつけたイントネーション(抑揚)

では解説していきます。

○3種類のリエゾン|音が変化するルール(リンキング・リダクション・フラッピング)

リエゾンとは音の変化に関するルールです。リダクションには3種類あり、リンキング・リダクション・フラッピンが3つの音の変化です。

  1. 音が消えて全く違う音に聞こえるリダクション
  2. 「ウォーラー」の発音はフラッピングが原因

発音を上達させるためには、リンキングだけでなく、リダクション・フラッピングの知識も必要です。

○感情が入るとアップダウンするネイティブの抑揚(イントネーション)

リンキング ・リダクション・フラッピングに加えて、イントネーションもネイティブ発音には欠かせません。単語に強弱をつけて発音します、感情が入れば、強調したい単語の発音を強くゆっくり発音します。

  1. 英語イントネーション(抑揚)の付け方
  2. 5種類のネイティブ発音を聴き比べ

英会話や音読練習のとき、イントネーションを意識して発音してください。英語の流暢性があがり、スタンダードな発音になります。発音が良いと、世界各国の人があなたの英語を聞き取ってくれます。

4-2.リエゾンが身に付くオーバーラッピングを使った音読方法

オーバーラッピングのイメージ

○効果的な音読方法オーバーラッピング|ネイティブ発音をマネするだけ

オーバーラッピングのやり方|誰でもネイティブ発音がマネできる

リスニング用の参考書などで音読練習をするとき、効果的な音読方法がオーバーラッピングです。聞こえたネイティブの英語を、スクリプト(文章)をみながら、音に合わせて一緒に音読します。リエゾンやイントネーションも完璧にマネした音読練習方法です。ネイティブ英語をマネするので、発音も改善されます。

○音読とリスニングに関係性あり|オーバーラッピングでリスニング力もUP

3か月でリスニングの苦手を克服する方法

正しい発音で英語を話せると、リスニング力も同時に身につきます。正しい発音で音読量を増やせば、発音したことのある英文はゆっくり聞こえてきます。上記の記事にて、英語がゆっくり聞こえる方法、を解説しています。発音改善にも関係ある方法なので、併せて学習くださいませ。

5.まとめ

リンキングはネイティブ発音の特徴です。単語と単語を連結させて音を出すため発音が変化します。このリンキングのルールと相性の良い単語の組み合わせに関する法則をご紹介しました。

  1. アルファベットの法則
  2. 品詞別に連結する法則

リンキングの他にもリエゾンと呼ばれる発音時の音の変化や独特なイントネーションがあります。これらの音の変化を学習することで、世界で通じる発音が手に入ります。発音が上達すると、リスニング力にも効果がでます。オーバーラッピングなどの音読方法を使い、練習に励んでください。

英語発音の上達に関する記事はこちらから

  1. 英語の発音おすすめ学習法
  2. 英語発音のコツは口(唇・舌)の形とリエゾン
  3. 3種類のリエゾン(リンキング )を易しく解説

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【松本兼頌(Matsumoto Kensho)】

英会話コーチング歴は10年以上。これまでに300人以上の英会話学習者をサポートし、スピーキング力の向上や転職成功といった多くの成果を実現してきました。特に、初心者が陥りやすい失敗や学習のつまずきポイントを熟知。その経験をもとに、「どうすれば英語が話せるようになるか」を具体的かつ実践的に解説しています。日常英会話からビジネス英語まで幅広く対応し、スピーキング・発音・リスニングに重点を置いて監修しています。

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