サイトトランスレーションで通訳者レベルの読解スピードに底上げする方法

英語脳を作るための学習方法 サイトラのやり方を徹底解説

サイトトランスレーションとは一体どんな効果があるのか?

TOEICの点数UPやリーディング・リスニングに効果がある、とみなさん知っているのではないでしょうか。

確かにサイトラは英語を理解する速度を早くするためのメソッドです。プロの通訳者育成のためのトレーニングとしても有名です。しかしサイトラの本当の効果は理解速度をあげるだけではありません。

英語学習者の最終ゴールであるバイリンガルになるための重要な学習方法でもあります。サイトラは英語を英語のまま考える「英語脳」を育てるための学習ツールです。

この記事ではサイトラの学習方法(やり方)だけでなく、サイトラの効果をより実感して頂くための理論も詳しく解説します。中級者の方で英語が伸び悩んでいる方は特におすすめの内容となっております。

1.サイトトランスレーションの効果は読解(理解)スピードUP

1-1.サイトラとは英語を英語のまま理解するための過程学習

サイトトランスレーションは読解(理解)スピードをあげるための学習方法です。サイトトランスレーションは略してサイトラと呼ぶことが一般的です。サイトラは英語通訳者のトレーニング方法としても知られており、英語を英語のまま理解する前段階として学習します。一般的な英語学習者にも効果的で、リーディングやリスニング学習に役立ちます。

1-2.サイトラを極めると日本語を考えなくて済む、つまり理解スピードが上がる

○最終的には日本語訳をなしで英語を理解できる

学習のやり方はシンプルで、英文を読みすぐに日本語に訳す、というものです。ポイントは素早く声に出して読む点です。素早く声に出して読むことで、英語から日本語に転換する脳の処理速度をあげる訓練になります。脳の処理スピードが上がると、結果として日本語訳なしでも、英語を理解することができます。

○英語を英語の語順通りに理解することができる

サイトラは英語を英語の語順通りに訳す、という特徴があります。

例えば、

I had / coffee and a toast / this morning /  with my family. 

上記の英文を通常通り日本語にすると、以下のような語順になります。
「私は家族と今朝コーヒーとトーストを食べました」

しかしサイトラはカタマリごとに、英語の語順通りに訳していきます。
「私は食べた、コーヒーとトーストを、今朝、家族と一緒に」

日本語訳としては不自然な訳ですが、英語を英語の語順で理解できます。最終的に日本語訳なしで、英語を理解することが可能です。

1-3:英語を英語のまま英語の語順で理解できる3つのメリット

サイトラを極めると、思考も全て英語で考えることが可能です。頭の中の言葉が英語になれば、あなたもバイリンガルの仲間入りです。この域に達するれば、英語も日本語もネイティブのように自由に扱えるでしょう。

サイトラを学習することで得られるメリット

  1. バイリンガルとして認定される
  2. リスニングの理解力が上がる
  3. リーディングの読むスピードが上がる
  4. スピーキング力がネイティブ並になる

頭の中の言語が英語設定になれば、英語学習はほぼ完成と断言できます。リスニング・リーディングの理解速度は圧倒的に速くなります。さらに一々言いたいことを日本語から英語に変換する必要もなくなるので、言いたいことを即座に英語で伝えることができます。

英語学習者の最終ゴールへ導いてくれるのがサイトラです。次の章で詳しい学習方法(やり方)について解説していきます。

2.やり方:英語から日本語に素早く変換する意識が効果UP

2-1.サイトラのやり方は声に出して英語から日本語に訳す

○サイトラを練習する際の手順

サイトラは以下の4手順で進めていきます。

  1. 英文をチャンクごとに区切る
  2. 区切った英文を英語で音読する
  3. 英語で音読した箇所を日本語にする
  4. 2と3を繰り返しながら最後まで読む

サイトラをおこなう前に、ざっと和訳をしてからサイトラをおこなうと初心者の方でも簡単におこなうことができます。慣れてきたら初見の文章でトレーニングしましょう。文章をたくさん扱うことで、読解スピードが向上します。

○英文を使って実際にサイトラをやってみる

先ほどの手順に沿って、具体的にサイトラをおこなう方法をご紹介します。英文はTOEICテストより抜粋しています。

案内人のセリフ

Good afternoon, I’d like to purchase a ticket for the guided tour of the exhibition on ancient Egypt.

お客さんのセリフ

I’m sorry sir, but that tour is only given on Saturdays and Sundays.

手順①英文を意味のあるカタマリごとに区切る

英文を音読し、日本語に訳し音読する

Good Afternoon →こんにちは

I’d like to purchase→購入したい

a ticket→チケットを

for the guided tour→ガイド付きツアーの

of the exhibition→展示会の

on ancient Egypt→古代エジプトの

I’m sorry sir→すみません、お客様

but that tour is  only given→そのツアーは開催されます

on Saturdays and Sundays→土曜日と日曜日のみ

例のように英文→日本語を文章の終わりまでサイトラします。次の節ではサイトラの効果を最大限引き出すためのポイントを詳しく解説していきます。

2-2.早口で練習することがサイトラの効果を上げる秘訣

サイトラがなぜ読解(理解)スピードUPに効果的なのか

英語を読んで⇨日本語を読む、という行為が脳の言語を切り替える訓練になります。英語を見た瞬間、理解できることが理想です。しかし人間の脳は完璧ではありません。言語を切り替えるとき、脳にストレスがかかります。訓練をしない状態だと、英語から日本語へ理解をするさいに、タイムラグが生じてしまいます。

サイトラをおこなうことで、脳が言語の切り替え作業をスムーズにする手助けとなります。言語の切り替えがスムーズになることで、読解(理解)のスピードが上がります。

早口で練習すると効果が上がる理由は脳の処理速度が関係している

文章を読むとき、声に出して読む場合声を出さずに読む場合の、頭の処理速度が違います。当然ながら声に出して読む場合より、声を出さずに読む場合の方が理解するスピードは早いはずです。

1分間の文字の処理速度

音読スピードをあげれば、黙読スピードも上がります。黙読スピードが速くなれば、脳に入ってくる情報量が増えます。その情報処理の力をサイトラで強化します。サイトラを早口ですると効果が発揮される理由は脳の処理速度に関係しているからです。

2-3.サイトラをおこなう際に必要な知識と注意事項

英語文型の知識が不可欠:意味のあるカタマリで区切るときに必要

チャンクごとに区切る際には5文型の知識が必要です。「英語の基本五文型を徹底解説」で文型のルールについてご紹介しています。サイトラをおこなう際は5文型の知識をしっかりと把握しておきましょう。

日本語の語順にならないように注意:英語の語順で訳を作る

チャンクごとに区切った箇所で日本語訳にすることが大切です。英語の順番で理解することが大切なので、訳を作るときに日本語の語順にならないように気をつけましょう。さらにチャンクはできるだけ細かく区切ることが大切です。

3.教材選び:内容重視で単語が難しくない教材がベスト

3-1.サイトラ用の教材を選ぶポイント

サイトラ教材に必要なもの

サイトラを学習するとき、サイトラに特化した教材を選ぶ必要はありません。以下の3点が揃っていれば、サイトラの練習ができます。

  1. 英語の文章
  2. 教材に書き込みができる(チャンクごとに区切るときに便利)
  3. 日本語訳(あると便利だが、なくてもよい)

英語の文章さえあれば、サイトラの練習ができます。日本語訳があると、自分の訳が正しいかどうか確認できます。初心者の方は日本語訳もあるとと便利です。

適したレベルの教材を選ぶことが大切

教材を選ぶときには難しいレベルの教材を選ぶのはやめましょう。本来の自分のレベルより、少し簡単なものから始めると良いでしょう。徐々にレベルをあげていきましょう。

3-2.サイトラを学習するためのオススメ教材

サイトラは英文さえあれば学習可能です。参考書・ネットニュース・新聞や歌詞ですらサイトラ用の教材となります。Aloha Englishでは教材を選ぶさいは以下の基準に沿って教材を選んでいます。

以上の3点を加味しながら、教材を選び作成しています。とくに③の単語レベルが難しすぎない、の項目は重要です。

Aloha Englishが選ぶおススメの教材

①速読英単語(Z会)

Z会の教材は優れている内容ばかりです。速読英単語は文章の長さ(レベルごとに違う)が適切であり、かつ読み物としての学びも豊富に含まれています。英語の勉強だけではなく、一般的な知識~専門的な知識を増やすことができます。

教材の公式サイト:『速読英単語 必修編[改訂第6版]』『同 入門編』『同 上級編』

ちなみに、上記のリンクは初心者から中級者用の参考書です。個人的なおすすめは中澤幸夫さんが手がけている「テーマ別英単語Academic」シリーズです。内容は上級者向けですが、内容も素晴らしく、英語学習としても読み物としてもおすすめです。

教材の公式サイト:テーマ別英単語 ACADEMIC [初級]

②TOEIC公式問題集のPart7

TOEICのテストを時間内で読み切りたい方におすすめの教材です。学習することで点数UPも期待できます。特にPar7は長文問題なので、サイトラ学習にも適しています。TOEICの学習方法は「TOEIC600点とる11の秘訣」をご覧ください。

教材の公式サイト:公式教材・問題集|【公式】TOEIC Program|IIBC

③Wikipedia(ウィキペディア)

ウィキペディアもおすすめ教材の一つです。自分の好きな分野や趣味に関する内容が揃っており、多くの記事が英語と日本語を兼ね備えています。単語の難易度が高いので、中級者の方以上が取組むのが無難です。

参考サイト:ウィキペディア(Wikipedia)

4.学習タイミング:中級者が伸び悩んだ時が絶好のチャンス

4-1.サイトラはバイリンガルになる一歩手前に学習するのがベスト

映画を字幕なしで理解したり、英語ネイティブの早い英語を理解したりするためには、圧倒的に早い脳の処理速度が必要です。サイトラはバイリンガルになるための最終段階とも言える学習です。

つまり、初心者や中級者になりたての方がおこなっても、効果を感じにくかったりします。中級者または上級者の方がネイティブと同じスピードで英語を扱う必要性があるとき、サイトラを学習するベストなタイミングと言えるでしょう。

サイトラは読解スピードが上がるだけではなく、スピーキングやリスニングのスキルアップにも役立ちます。サイトラの他にも「英語脳」を育成するための学習方法がございます。おすすめの学習はプロの通訳者も使うトレーニング方法です。

ではサイトラと組み合わせると成果をさらに実感できる学習方法をご紹介します。

4-2.通訳者がおこなうサイトラと相性が良い学習方法5選

○スピーキング 力に効果的な学習方法2選

1.サマライジング

サマライジングとは読んだり、聞いたりした内容を要約することです。通訳のトレーニングにも使われてる方法で、スピーキング・読解・リスニングなど多岐にわたり効果的なトレーニング方法です。こちらで「サマライジングのやり方」を詳しく解説しています。

2.クイックレスポンス

クイックレスポンスとは英語か日本語の単語や文をみて即座に訳す、というトレーニング方法です。こちらも通訳のトレーニングに使われている方法です。

一般的な英語学習者は日本語から英語に訳する練習のみでかまいません。こちらで「クイックレスポンスのやり方」を詳しく解説しています。

○リスニング力に効果的な学習方法3選

3.シャドーイング

シャドーイングとは聞こえた英文を、聞こえた通りにマネしながら音読する方法です。聞こえた音に対して、少し遅らせて(0.5秒ほど)発音することがポイントです。

リスニングに効果的で、Aloha Englishの生徒の方にも絶大な効果を実感して頂いております。全く英語の聞き取りが出来なかった生徒が、数カ月で「リスニングに自信を持てた」という実績をあげています。

4.レシテーション

レシテーションとは文章暗記です。英語習得の初期段階におこなうと効果的な方法です。英語の語順に慣れたい、英語の表現を身に着けたい、とお考えの方にはおススメの方法です。

インプットがメインの学習方法なので、必ずアウトプットとセットでおこないましょう。プレゼンやスピーチの前にレシテーションをおこなうと効力を発揮します。

5.リプロダクション

聞こえた英文を記憶し、それを自分の言葉で文章化していく練習です。聞こえた通りの単語を使う必要はなく、自分の言葉に置き換えることが可能です。聞こえた英文を記憶し、再構築しながら発声することで自分の知識に変わっていきます。

5.まとめ

サイトトランスレーションの効果とやり方について詳しく解説しました。サイトラをおこなうことで、英文への理解力のスピードが向上します。英文を読むリーディングはもちろん、リスニングにも絶大な効果を発揮します。

さらにサイトラは英語を英語のまま理解するための「英語脳」を鍛える学習ツールでもあります。適切な教材で学習をおこなうことで、バイリンガル同様に瞬時に言いたいことを英語で表現できるようになるでしょう。

英語が伸び悩んでいる中級者の方は、サイトラとこの記事で紹介したその他の5つの学習方法にトライしてみてください。英語学習者の最終ゴールでもあるバイリンガルにきっと到達できるはずです。

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記事の監修者情報

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【松本兼頌(Matsumoto Kensho)】

カリフォルニア大学で語学とマーケティングを専攻。卒業後ハワイで広告営業を担当しました。余談ですが、ワイキキとカイルア担当だったので隠れスポットの話も得意です。

今までの海外経験を活かし、正しい英会話の習得方法を徹底解説。スピーキング ・発音・リスニングに関する記事を主に執筆しています。わからないことがあれば、お気軽に相談してください。