ネイティブのような軽やかな発音を身につけたい!
ネイティブ発音には独特のイントネーションがあります。日本語は平たく発音する特徴に対して、ネイティブ英語は抑揚をつけて細かなニュアンスを表現します。欧米人をオーバーリアクションと感じるのも、多彩なイントネーションを使い分けているからかもしれません。
ネイティブ発音の獲得はは英語学習者にとって難しい課題です。事実、12才以上の大人がネイティブ発音を学ぶことは確かに難しい、という研究結果もあります。
完璧なネイティブ発音ができなくとも、ネイティブ発音に限りなく近づけることは可能です。そのためにもイントネーションは大切な知識なので、発音改善のため学習することをおすすめします。
発音が改善されると、リスニング(英語の聞き取り)も驚くほど上達します。ではネイティブ発音がもつ特有のイントネーションについて詳しく解説していきます。
1.イントネーションを学ぶ重要性|英語は音の強弱で伝える言語

1-1.音の強弱には意味がある|日本語は平たく、英語は強弱をつけたイントネーション
○日本語は平たく、英語は強弱をつけて発音する特徴がある
日本語の発音と比べると、英語はイントネーション(抑揚)の付け方が異なります。日本語は抑揚が少なく平たく発音します。しかし英語はドッグブレス(3章で解説)という発声方法で発音をするため、イントネーションがリズミカルに聞こえます。イントネーションを意識して発音をすれば、日本語アクセントが消えて、より英語らしい発音ができます。
○英語には文法ごとに強弱をつけて発音するルールがある
- 通常の文
- 「Yes」「 No」疑問文
- 付加疑問文
- 「and」「or」などの等位接続詞
- など
英語は文中や文末でイントネーションを変えるという文法ルールがあります。通常の文は語尾を下げて、疑問文はあげるなどです。
1-2.表現力が豊かになる|英語イントネーションを学習する3つのメリット

○ネイティブ発音が身に付く|英語特有のイントネーションを知る
イントネーションに強弱をつけるだけで、発音が英語らしい音なります。ネイティブが抑揚のルールを知ることで、発音改善にも繋がります。
○会話の表現力が豊かになる|「I’m fine」も抑揚をつければ意味に深みが出る
笑顔で伝える「I’m fine」と、悲しい顔で伝える「I’m fine」では、表現したい意図が変わるはずです。同じくイントネーションも変化させることで、同じ表現でも、伝えたい「意図」が変わります。特に感情を表に出すことが上手な英語ネイティブは、フレーズの抑揚を変化させて細やかな気持ちを表現するのです。
○リスニング力UP|発音できると英語は聞き取れる
イントネーションへの理解がリスニング力UPにも関係があります。簡単な単語ですら抑揚が加わることで、英語が聞き取りづらいと感じます。そのイントネーション(抑揚)を自ら発音できれば、ネイティブ英語を「聞き取るコツ」が掴めてきます。さらにネイティブ英語と一口に言っても国ごとに違い、アクセントは全部で5種類あります。しかし基礎的なイントネーションの特徴さえ知っていれば、どのアクセントにも対応できるでしょう。
5種類のネイティブ英語
- アメリカ英語
- カナダ英語
- イギリス英語
- オーストラリア英語
- ニュージーランド英語
日本語の方言と同じように、英語にも発音方法が地方によって異なります。同じアメリカでもニューヨークとハワイの発音は別物です。全て把握することは無理ですが、様々なアクセントを聞き比べることも大事な経験です。
2.イントネーション(基本編)|語尾や文中で変化する3つの法則
ネイティブ英語のイントネーションには3つ種類があります。
- 「語尾」の変化
- 文中の変化
- 単語の役割ごとにつける変化
では詳しく解説していきます。
2-1.語尾にイントネーションをつける場合

英語には文の語尾を下げる抑揚と、語尾をあげる抑揚があります。
○語尾をさげて発音するとき
- 肯定文・否定文
- 5W1H(疑問文)
基本的に英語を発音する場合は語尾を下げます。肯定文・否定文の時は語尾をさげ、疑問文の時は語尾をあげるのが一般的です。しかし5W1H疑問文のときは語尾をさげるので注意してください。
該当する英文法の記事一覧
○語尾をあげて発音するとき
- Yes/Noを尋ねる疑問文
- 付加疑問文
- 相手の言っていることが聞こえない・わからない
語尾をあげるときは、疑問文のときです。相手に質問するさいに語尾をあげます。確認のため相手の言ったことを聞き返すときも、語尾をあげて発音します。。さらには肯定文でも腑に落ちていないとき、よくわからないときにも語尾をあげることがあります。
該当する英文法の記事一覧
2-2.文中に抑揚をつける「and」と「or」の場合
○AndとOrを使う時
日本語では「AとBとC」のように、言葉を並べる場合、「と」を2回使います。しかし英語では「A,B and C」のように、「と」にあたるandが1回しか使われません。
- A and B and C(✖️)
- A, B and C(○)
andとorのイントネーションにもルールがあります。andとorの前の単語は語尾が上がり、後の単語の語尾は下がります。

2つを並べていう場合
- A(⤴)and B(⤵)
- A(⤴)or B(⤵)
3つ以上並列してつなげる場合
- A(⤴) , B(⤴) , C(⤴)and D(⤵)
- A(⤴) , B(⤴) , C(⤴)or D(⤵)
2-3.単語に強弱(内容語・機能語)をつける場合
強弱をつけて発音をすると一気にネイティブのような発音になります。内容語と機能語にわけて、音の強弱やスピードを変えて発音します。

○機能語と内容語でリズムを分けた発音例
機能語と内容語での発音例をご紹介します。以下の文を発音する際に、太文字はゆっくり、細文字は素早く発音する。大切なポイントは緩急をつけて発音することです。
- But I’m just in town for a business trip.
- When did you start to feel bad?
- But perhaps there was something wrong with the fish.
機能語と内容語の発音をする際に緩急をつけたら、さらにリエゾンも加えると発音がさらに良くなります。リエゾンについては下記で詳しくしていますので、ぜひ参考にしてください。
○内容語と機能語の品詞で分けた単語リスト一覧表
内容語とは
内容語とは相手に伝わらないと意味が通じない言葉です。主に名詞・動詞・形容詞・副詞を指します。相手に通じるように伝えるため、ゆっくりはっきり大きく発音するのがポイントです。
機能語とは
機能語とは文の方向性やつなぎを表す言葉です。内容語と比べると重要度は下がります。絶対に聞き取れなくても、何とか会話が成立するのが機能語。よって素早く小さく発音する傾向にあります。英語の聞き取りで難しいのはこの機能語を聞き取ることです。
機能語の一覧表
** | 品詞 | 具体例 |
---|---|---|
機能語 | 人称代名詞 | ■主格 I / you / he / she / it / we / they ■目的格 my / your / his / her / its / our / them ■所有格 me / you / him / her / it / us / them |
助動詞 | do / does / must / can / may / have to etc. | |
前置詞 | at / in / of / about / from / by etc. | |
冠詞 | a / an / the | |
接続詞 | and / or / but etc. | |
関係代名詞 | that / what / which / whom etc. | |
内容語 | 名詞 | desk / chair / dictionary / laptop etc. |
動詞 | move / take / put / bring etc. | |
形容詞 | beautiful / lovely / old etc. | |
副詞 | very / so / again / totally etc. | |
指示代名詞 | this / that / it etc. | |
所有代名詞 | mine / yours / his / hers / its / ours / theirs | |
疑問視 | what / when / who / which / where / why / how etc. | |
再帰代名詞 | myself / itself / yourself / ourselves etc. |
3.イントネーション(応用編)|強弱の変化で「伝わり方」が変わる
3-1.感情や態度による変化
機能語は素早く小さく発音すると先ほどご紹介しました。しかし感情や態度が変わると、機能語も強く発音する場合があります。例文で確認していきましょう。

この場合、「あなた」が怒らせた原因のため、強調をして発音されます。
You made her angry!!
「あなたが彼女を怒らせたんだ!」
他にもitやthatの代名詞も感情や態度によって強調して発音されます。

「受け取ってください」のニュアンスを強調するために、抑揚をつけます。平たく発音するよりも、伝えたいことをイントネーションを使って強調します。
3-2.重要性を表現するための変化
重要性を表す単語も強調して発音されます。「私の」という箇所が強調されるので、強く発音します。

他にもthisやthatでも同じような強調が起こります。代名詞でも「それが」と強調する場合は、ゆっくり大きく発音することで重要性を強調します。

伝えたい単語にイントネーションを加えて発音します。すると伝わり方が変わり、聞き手の理解にも変化が生まれます。自分の意見に感情を込めて発音するとイントネーションがリズミカルになります。
4.イントネーションの練習方法とドッグブレス式の腹式呼吸
4-1.ネイティブ発音にはドッグブレスを使った発声方法が大切
○ドッグブレスとは腹式呼吸を使った発声方法
ドッグブレスとは腹式呼吸を意識しながらの発声方法です。「ハー、ハー」と発音するのではなく、腹式呼吸で音を切りながら「ハッ・ハッ・ハッ・ハッ」と発声することがポイントです。

日本語は母音メインの発音のため、発音に多くの息を消耗しません。それに対し、英語は子音の発音が多いため、大量の息を消耗します。日本語を話すとき以上に、多くの息を意識的に出すのが必要です。
○ネイティブはドッグブレスを使って発音する

ドッグブレスで英語の文で発音をします。日本語の平たく発音する方法と違い、英語特有のリズムで発音になるはずです。英語ネイティブはドッグブレスを意識してイントネーションをつけています。
○ドッグブレスを使った英語発音がよくわかる動画
4-2.手を叩いたリズムで発音するとイントネーションの強弱がつく
○一定のリズムに合わせて発声する方法
英語発音はリズムも重要です。メトロノームのように手でリズムをきざみます。手を叩きながら発声することで、イントネーションがさらに加わります。

手を叩いたときには、内容語を1単語発声します。手を離したときには、機能語をつめて素早く発音します。例文の場合、内容語が5単語あるので、5回手を叩きます。リズムに乗せて発音をすると同時に、ドッグブレスとイントネーションを意識するとネイティブのような発音になります。
手を叩きながら音読するときの注意点は、手を叩くリズムが崩れないようにしましょう。最初はメトロノームでの練習をおすすめします。余談ですが、歌が上手い人、音楽をやっている人は発音がすぐに上達する傾向にあります。
○オーバーラッピングという音読練習方法でイントネーションとリズムをマスター
オーバーラッピングとは
オーバーラッピング は聞こえてくる音声に合わせて音読するという初心者でもできるリスニングの練習方法です。聞こえた英語の音を完璧に真似て発音する音読練習なので、英語ネイティブ特有のイントネーションを身につけやすい方法です。

発音をする前に、イントネーション、内容語・機能語、リエゾンなどをチェックしましょう。文を見ただけで、発音のイメージが浮かべば、どんな文でもネイティブ発音で英語を話すことができます。
4-3.リエゾンした状態でイントネーションが加わるとネイティブ発音になる
リエゾンとは文で読んだ時に単語どうし連結が起こり、「音」を変化せて発音することです。
音の連結はネイティブ発音の基礎です。リエゾンに関する3つの仕組みをしっかり理解することから始まります。リエゾンを意識して音読練習をすれば、数ヶ月で外国人に伝わる発音へ上達するはずです。独学で学習する場合は、自分の音声を録音することをおすすめします。
リエゾンの例

リエゾン3種類を以下の記事で詳しく解説しました、ぜひご覧ください。
リスニング教材やYoutube・TED・映画の字幕を使って練習することができます。シャドーイングを取り入れながら、練習すると短期的に効果を発揮します。しっかりとプロの指導のもとで練習を行うと、課題や弱点の分析も素早くできます。
5.まとめ
英語イントネーションを習得することで、ネイティブのような発音に一歩近づくことができます。日本語のカタカナ英語発音から脱却して、世界で通じる英語発音を身につけてください。
文の語尾・文中・単語ごとに抑揚をつけて音声を出します。文法に基づいたルールに沿ってイントネーションを変化させます。さらに話す内容や感情によってもイントネーションは変わります。抑揚が加わることで、表現のニュアンスを変化せることが可能です。
イントネーションを意識した発声練習は腹式呼吸で行います。リエゾンとリズムに乗せて、手を叩きながら音読練習すると、まるでネイティブ発音のようなノリが出てきます。独学で学ぶ時は、自分の英語を録音しながらオーバーラッピングで練習すると良いでしょう。発音が伸びることでリスニング力も上がる。発音の仕組み学び、キレイな発音を目指してください。
○発音に関してまとめた記事
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