知っている単語なはずなのに英語が聞き取れない、一体なぜだろう?
ネイティブは英単語をスペル通りに発音しません。その理由の1つがリダクションと呼ばれる音の脱落が原因です。
リダクションとは英語を文章で発音するとき、スペル通り発音しなくても良いというネイティブ発音のルールがあります。ネイティブは発音しやすくするために音を省略します。
英語を聞き取る(リスニング)上で、このリダクションが厄介者です。リスニングを指導していて、多くの生徒がネイティブ発音の仕組みを知らない、という事実を発見しました。しかしリダクションの仕組みを知り、リダクションを意識して自らもネイティブ発音を真似ることができる。すると英語は驚くほど聞き取れるようになります。
この記事ではリダクションの仕組みについて詳しく解説します。さらに発音とリスニングの関係性についても説明いたします。この記事を読み終わった頃には、ネイティブ発音のルールについて理解して頂けるはずです。
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リダクション(Reduction)とは本来のスペリング上で発音されるべき音が脱落する現象です。TOEICのリスニングなどでネイティブ発音を聞くと、文字通りに発音しないことが多々あります。このリダクションが原因で本来の単語とは違う音に聞こえます。
音が消えることで、スペルと異なった発音になるので要注意です。英語を発音する時の音の変化をリエゾンと呼びます。リエゾンはネイティブ発音の土台となる知識です。
リダクションは英語だけではなく、他の言語でも起こります。もちろん日本語でもリダクションは起こります。例えば「おはようございます」、みなさん文字通り発音しているでしょうか?多くの方は「おはよーございます」のように「う」を省略していることがほとんどでしょう。ひどい場合は「オザース」となる方もいます。こういう省略を言語的にリダクションと呼びます。この音の変化こそが英語が聞こえない原因です。
リダクションのような音の変化をリエゾンと呼びます。リエゾンの仕組みを理解をして、発音練習をします。すると、ネイティブ発音が驚くほど聞き取れます。
ではリダクションの仕組みについて詳しく解説していきます。
先ほど例にあげた通り、リダクションはよく起こる現象です。リスニングをしていると何度聞いてもスペル通りに聞こえないというのは、このリダクションが原因の1つです。リダクションの仕組みに関する3つのポイントについて学びましょう。
ではリダクションのルールについて例文を見ながら解説していきます。
単語の語尾に破裂音[b/d/g/k/p/t]が来た場合、口の形だけ作って音を出さずに終わっていいというルールです。例えば、think /θink(シンク)/という単語は、[k]を省略して、/θin(シン)/と発音することが可能です。
発音記号を参照にしながら以下の解説を読むと、理解しやすくなります。「英語発音のコツ」に発音記号とフォニックスを記載しているのでご覧ください。
単語の語尾に破裂音が来た場合は、音が脱落します。単語の例は以下の通りです。
文中での脱落も頻繁に起こります。文中ではリンキング やフラッピングといった音の連結も起こり、さらにリダクションも発生します。するとスペリングと大きく異なる発音に聞こえます。仕組みさえ理解できれば、自然と聞こえるようになります。
“but that tour”のように同じアルファベットが重なると、片方の発音を省略できます。「t」の音が消えています。
副詞lyの前のtも発音しないことが多いです。-tlyと-dlyの綴りがある単語はとても発音しづらい。「T」「D」を発音しないと、一気に発音しやすくなります。
「・」の部分には一瞬間を置いて発音してあげるとネイティブのように発音することができます。音声を聞くと具体的にわかると思いますので、下記の資料を参考にしてください。
英単語には品詞別に分類した内容語と機能語があります。内容語とは名詞・形容詞・動詞などの文中で意味をなす単語です。一方で機能語は代名詞・前置詞・冠詞など役割を担う単語です。
機能語は重複した代名詞や役割のみの前置詞は、発音時にリダクションが起こります。機能語のリダクションが起こると、本来の発音とは違う音に変化します。
内容語と機能語を品詞別に分類しました。以下の一覧表をご覧ください。
** | 品詞 | 具体例 |
---|---|---|
機能語 | 人称代名詞 | ■主格 I / you / he / she / it / we / they ■目的格 my / your / his / her / its / our / them ■所有格 me / you / him / her / it / us / them |
助動詞 | do / does / must / can / may / have to etc. | |
前置詞 | at / in / of / about / from / by etc. | |
冠詞 | a / an / the | |
接続詞 | and / or / but etc. | |
関係代名詞 | that / what / which / whom etc. | |
内容語 | 名詞 | desk / chair / dictinary / laptop etc. |
動詞 | move / take / put / bring etc. | |
形容詞 | beautiful / lovely / old etc. | |
副詞 | very / so / again / totally etc. | |
指示代名詞 | this / that / it etc. | |
所有代名詞 | mine / yours / his / hers / its / ours / theirs | |
疑問視 | what / when / who / which / where / why / how etc. | |
再帰代名詞 | myself / itself / yourself / ourselves etc. |
機能語とは文章を構成する単語で、聞き取れなくても文章に大きく影響のない言葉です。機能語は素早く発音する傾向があります。
では機能語に起こるリダクションのパターンをご紹介していきます。
その他のリダクション例
日本語発音と比べると大きな違いですね。
単語 | リダクション前の発音 | リダクション後の発音 |
---|---|---|
you | ju: | ju(ユ)/jə(ヤ) |
he | hi: | i:(イー) |
they | ðei | ei(エイ) |
his | hiz | əz(アズ) |
her | her | ər(アー) |
their | ðer | er(エア) |
him | him | əm(アム) |
them | ðem | em(エム) |
その他のリダクション例
単語 | リダクション前の発音 | リダクション後の発音 |
---|---|---|
can | kǽn | kən(カン) |
must | mʌ́st | məst(マスト) |
have | hǽv | əv(アブもしくはアフ) |
リダクションは必ず起こるとは限りません。「可能か不可能か」のように2択を尋ねる場合、明確にcan or cannotを発音する必要があります。伝えたい意図に合わせて、音の強弱をつけることがコツです。
その他のリダクション例
単語 | リダクション前の発音 | リダクション後の発音 |
---|---|---|
at | ǽt | ət |
on | ɑ́n | ən |
of | ɑ́f | əf |
from | frɑ́m | frəm |
in | in | ən |
for | fɔ’ːr | fə |
to | tu: | 子音の前:tu/tə 母音の前:tu 文(or節)の終わり:tu: |
イディオムに前置詞が含まれる場合は、前置詞を強くゆっくり発音します。
a, an, the は、音は変わりませんが、小さめに発音されます。
その他のリダクション例
単語 | リダクション前の発音 | リダクション後の発音 |
---|---|---|
and | ǽnd | ənd |
or | ɔ’ːr | ər |
but | bʌ́t | bət |
文脈に応じて、接続詞もゆっくり強く発音します。以下の例文は全て接続詞を強調する文脈になっています。
単語 | リダクション前の発音 | リダクション後の発音 |
---|---|---|
that | ðǽt | ət |
what | (h)wʌ́t | (h)wət |
which | (h)witʃ | (h)wətʃ |
ネイティブ発音にはリダクション以外にも音の変化があります。それがリエゾンとイントネーションです。これらをマスターすることで、発音は劇的に向上します。日本語訛りの発音ではなく、ネイティブ発音により近い形で発音することが可能です。
ネイティブ発音の知識だけでなく、ネイティブ発音を習得するための練習方法についても解説します。発音が良くなると、伝えたいことがスムーズに伝わるだけでなく、リスニング力にも効果が現れます。リスニング力にお悩みの方は、ぜひ以下の内容をお読みください。
では詳しく解説していきます。
ネイティブは発音をするとき、単語と単語がリエゾンして発音の音が変化します。リエゾンとは音の変化で、3種類の発音の変化があります。リエゾンに加えて英語独特のイントネーションが加わると、元の単語の発音とは全く別の音へ変化します。
ネイティブは英語を文(1単語以上の意味をなす集まり)で話すとき、発音方法が変わります。これをリエゾンと呼びます。
リダクションは音の脱落でしたね。それ以外にも2種類のリエゾン(音の変化)があります。
リエゾンはネイティブ発音の基本です。3種類の音の変化ができると、発音が驚くほど改善されます。記事内容を理解するだけでなく、実際に再現できるよう練習してください。
日本語と英語の発音方法は根本的に異なります。平たく、一定のリズム・強弱で発音するのが日本語の特徴です。一方で英語は強弱をつけて発音します。
日本語のように一定のイントネーションで発音すると、ネイティブのような発音にはなりません。リエゾンを意識し、イントネーションの強弱をつけることで、ネイティブ発音を再現できます。
自分の想像で発音練習をしても全く効果を得ることができません。リスニング教材を使い、ネイティブの発音を正しく真似る。これが効果的な音読方法です。ネイティブ発音をよく聞き、正しい発音で音読する方法がオーバーラッピングとシャドーイングです。
両方ともプロの英語通訳士がトレーニングする方法です。効果は折り紙付きです。
音読するときにもう1つ意識してもらいたいのが、唇の形とフォニックスです。日本語は唇を動かさずとも発音ができます。しかし英語は唇をダイナミックに動かして発音する傾向があります。
アルファベットの発音を主に学ぶことができます。以下の2つを参考にしてください。
リダクションを含め、以上の知識を学ぶことで発音は改善します。発音が改善するとリスニング力も上がります。発音は英語学習において重要項目ですので、日々練習を重ねましょう。
リダクションについて解説しました。リダクションとは特定の単語の音が消え、スペル通りに発音しないことです。リダクションには主に3種類の音の脱落があります。
リダクションの他にもリンキング ・フラッピングという文章内で起こる発音の変化があります。これらの音の変化をリエゾンと呼びます。リエゾンを理解するとネイティブのようなかっこいい発音ができます。
発音が改善されると、リスニング力も上がります。正確な発音で音読することが、ネイティブ発音を聞き取るためのスキルにつながるのです。単語1語の発音を練習しても、発音は上達しません。文章で発音を練習することが大切ですね。リダクションを取り入れた音読練習は、オーバーラッピングやシャドーイング、を使った方法が効果的です。
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